そう考えて、最初の一歩をコンサルタントや専門業者への丸投げから始めようとする経営者は少なくありません。マニュアル作成、加盟店指導の仕組みづくり、契約関連の整備……。挙げていけばキリがなく、「これは自分たちの手には負えない」と感じてしまうのも当然です。
でも、実際のところはどうでしょうか。**フランチャイズ本部は、外部に任せなくても自社で作れます。**むしろ、海外展開まで含めて、自分たちの手でやったほうがうまくいくケースがほとんどです。今回は、その理由を整理してみます。
フランチャイズ本部の機能を項目ごとに書き出すと、10個前後になります。これをそのまま見せられると、「こんなにあるのか」と身構えてしまう方がほとんどです。
けれど、よく見てみてください。すでに店舗を運営している会社であれば、その半分くらいは、普段の業務の中でもう実践済みのはずです。スタッフの採用、教育、現場の数字管理——これらはすべて、フランチャイズ本部の核となる部分そのものです。
残りの機能についても、最初から完璧に揃える必要はありません。できているところから始めて、足りない部分は運用しながら順番に整えていけばいいだけです。「店舗経営とは全然別次元の、新しいことを一から始める」というイメージがあるからこそ、腰が重くなってしまうのだと思います。
もう一つよくあるパターンが、マニュアル作成を専門家に依頼することです。
正直に言うと、外部に作ってもらったマニュアルは、たいてい活用されません。納品されたその日を境に本棚に置かれたきり、数年後には「そういえば昔作ったな」で終わる。せっかくのコストが、そのまま眠ってしまうわけです。
理由は単純で、現場のノウハウを一番理解しているのは経営者自身だからです。外部の人間が後から聞き取ってまとめたものより、本人が実際に手を動かして作ったもののほうが、圧倒的に「使える」ものになります。作りながら「ここは違うな」と気づけば、その場で直せばいい。
作り方のコツは、単なる「参考書」にしないことです。1日目にはこれを教える、2日目にはこれ、というように、順を追った**カリキュラム**として設計する。そうすれば見直しもしやすく、教える側にとっても教わる側にとっても、実践的な内容になります。あるベーカリーチェーンでは、創業者自身がこの形でカリキュラムを作り上げ、年に数回の改定を重ねながら磨いてきました。自分で作ったものだからこそ、自分たちで使い続けられるのです。
社内に得意なメンバーがいれば、その人と一緒に作っていくのも良い方法です。大切なのは「誰かに任せて終わり」にしないことです。
「他社の従業員を指導するなんて、自分たちにできるのか」という不安の声もよく聞きます。
でも実態を見てみると、やっていることは自社店舗のスタッフ指導とほとんど変わりません。数字を見て、現場を見て、改善点を伝える。対象が「自分の店舗」から「加盟先の店舗」に変わるだけです。
昔で言う「のれん分け」の感覚に近いかもしれません。自分たちとは別の会社が、自分たちの看板を掲げて店舗を運営してくれている。その相手に成功してほしいから、伴走し、応援する——そのくらいの距離感で捉えると、意外と身構える必要がないことに気づきます。
海外となると一気にハードルが上がるように感じますが、仕組みで見ればそれほど大きな違いはありません。
店舗の状況把握については、カメラとPOSデータがあれば、現地に行く前からある程度の実態をつかめます。会話は、翻訳アプリで十分に対応できます。オペレーション指導で使う言葉は、実はそれほど幅広くありません。「順番が違う」「温度が低い」「ここはこうしてほしい」——このレベルの指示であれば、翻訳ツールで問題なく伝わります。
実際、英語をまったく話せない状態から海外パートナーとのやり取りを始め、今では日常的にコミュニケーションを取れている経営者もいます。日本語とインドネシア語のあいだを、通訳を介さず翻訳アプリだけでやり取りした例もあるほどです。海外向けの指導も、国内の店舗指導と本質的な違いはなく、変わるのは言語の扱い方だけだと考えると、だいぶ気が楽になるはずです。
## 中小企業オーナー同士だからこそ、関係が長続きする
海外パートナーと聞くと「レベル感が合わなさそう」と身構えてしまいがちですが、実際に手を組む相手の多くは、現地の中小企業のオーナーです。だからこそ気軽に付き合え、契約も大人数で取り交わすような堅苦しいものにはなりません。
会社の規模感やレベルが大きく違いすぎると、うまくいかないのは事実です。ただ、オーナー同士がフランクに付き合える関係であれば、ビジネスの話に留まらない個人的なつながりが生まれ、それがそのまま関係の継続力になっていきます。
フランチャイズ本部づくりも、海外展開も、外部にすべて委ねなければ実現しないものではありません。今すでに現場にあるノウハウを整理し、自分たちの言葉でマニュアルやカリキュラムに落とし込んでいく。そのプロセスさえ踏めば、国内でも海外でも、十分に自社完結で本部機能を築けます。
とはいえ、最初の一歩を一人で踏み出すのは心細いものです。私たちアセンティア・ホールディングスは、本部構築を代行するのではなく、皆さまご自身が手を動かして作り上げていく過程に伴走し、後押しする立場でお手伝いしています。フランチャイズ本部構築や海外展開でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。