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顧客の離反とSNSマーケティング

作成者: Akira Tsuchiya|Feb 4, 2025 7:53:52 AM


昔からの有名店。
SNSで人気の店。
並んでいる店。

1月の後半から沖縄にいる。
海外に向けていろんな事業を見るため、企画するため、MTGするために。

沖縄では麺類といえば沖縄そばが有名だ。
有名店があるのでそこに行こうということになった。

店内には有名人らしき人のサインの色紙。
よくあるパターンだ。

顧客の半分以上はインバウンドのアジア系外国人
まちがいなくSNSで認知して来店した人たちだ。


SNSによってマーケティングが大きく変わったと言われる。
TVのCM等々に出さなくても安価にお店を顧客に知らしめることができる。

万人に、もしくは趣味趣向を絞り込んだ、ターゲットセグメントした人達に対して。
しかも、下手な鉄砲、数打ちゃ、、、ではなくて、打つというアクションも無しにして、ただ掲載して観せるだけだ。興味があれば万人が見てくれる。
一人一人アクションを起こす必要もなく、SNSというインフラに掲載するだけ。
個人でも、インフルエンサーと言われる人たちを使ってでも。

そう、日本以上にアジアの方がSNSによって、すべての業界のマーケティング手法が変わったように見える。

ただ、たくさんの人に認知が広がることは良いことなのだが、その後の戦略はなにかあるのだろうか?

一見の客がたくさん来て売上を押し上げている状態は、企業にとって、はたまた店舗にとって好ましい状況なのだろうか?
なんとも焼畑農業的な。。。
とりあえず表面だけすくって。
顧客をすくい上げる。
何度も何度も、場所を変えては、すくい上げる。

それらの顧客が店舗に対して、どんな感想を持ったかもわからない。
お店側は客数が増えればよいので、ただひたすらにすくい上げる。

店舗に、料理に、サービスに満足して、また来たいと思う顧客を作り上げるのとは正反対のアプローチだ。


企業の目的は「顧客の創造である」
P・F・ドラッカーはこう言った。

一見客をすくい続けることも、リピーターを創り続けることも
顧客の創造には違いないのだが。

ドラッカーの言う、顧客の創造は、原文では
create a customer だ。

複数形の「客数」で見るのではなく、単数形の「顔数」で見ろと言ってるのではないかと思えてしかたがない。

一人の同じ顧客が店舗に2回来店すると、客数は2となるが、顔数は1だ。



閑話休題、

SNS。
大勢の人に一気に認知させるには非常に良いツール。
しかしそれは良い部分も悪い部分も認知されることを忘れてはならない。



先述の沖縄そばの店。

沖縄生まれの、昔からこのお店のフアンであり、このお店に連れてきてくれた人間が
一言こう言った。
「もう来ないかな。。」

これ。これ。 
こうなるともう終わりなんですよね。。。


あくまで、SNSは単なる広告ツールであり、お店にとっての救世主ではない。

もしあなたが展開している事業が飲食店であれば、お店の第一次品質は、まちがいなく「味」であり、
それに続いて、「雰囲気」(店舗の内装や商品の見栄えのハード)、「サービス」(ホスピタリティというソフト)であり
それらを串刺しにした「価格」なのだ。

どれだけ大勢の人に告知して、もしくはSNSで有名になり、来店してくれて客数が増えても、それが続いていく保証はない。

すべては店次第。店の第一次品質のレベル次第なのだ。


店の売上は上がることもあれば、下がることもある。
SNSでバズらせて顧客を呼び、売上が一瞬にして上がったとしても、
顧客の店舗に対する評価が売上に影響するのは、決して直ぐではない。

そのお店に来店する顧客の標準来店スパンが非常に重要だ。
来店スパンが1ヶ月のお店であれば、顧客の評価が売上に出てくるのは1ヶ月後、顧客が満足して次回来店するのは1ヶ月なのでそこでようやくわかるのだ。移動平均等をとれば如実にその評価が目に見える。、

逆も然りで、お店に対する顧客満足が低く、もう来ないと思った顧客がどんどん出ていても売上が落ちてくるのは1ヶ月後なのだ。。
少しずつ少しずつ売上が落ちていき、どうしようもない状態になってから気づく。。。

SNSによって売上が作られ続けていて、お店は瀕死の状態と言う店舗も多いのではないだろうか。


ほんとに良いお店をつくる。
顧客の創造を行い続ける。
仏を作って、魂も入れる。


長く続く、良いお店を作るのは、一日にしてならずなのである。




アセンティア・ホールディングス
代表 土屋