今回は、私たちの海外フランチャイズ案件の一つである「たけさん」ラーメン(長野県小布施町)が、同じ長野の野沢温泉スキー場に進出しましたので、その経緯と結果をレポートします。
海外フランチャイズを広げているなかで、途上国であったモンゴルが、本家の店舗売上をどんどん抜いていき、ラーメン一杯の価格も開業年は日本の方が高かったのですが、今ではモンゴルにも抜かれる等、世界を知れば知るほど、日本での飲食の経営の在り方に悩みが生まれていました。
しかし昨年2024年11月に、この野沢温泉が開業して以降、経営者の考えがパッと明るくなりました。その辺の実情をインタビューしました(2025年2月19日)
私は、2008年に長野市で開業しました。
その時にはもう「土鍋で」、「信州味噌で」というスタイルで最初からスタートしてるのですが、オープンから10年後の2018年に、小布施町の老舗味噌屋さんの横で二店舗目を出しました。
そこで自らのブランドの深掘りと先鋭化と言いますか、味噌を掘り下げ、ラーメンを掘り下げ、よりブランドとしての力をつけるための出店につながるかなと思って2店舗目を出店しました。
そのタイミングで、海外への出店のチャンスがありました。
そもそも「長野から各地へ発信できるようなラーメン」を念頭において作ったブランドなので、長野から全国へ、あるいは世界へというブランドになってくれればという思いがこれで果たせるかなと思ったので、海外進出は全力でやらせていただきました。
その後、モンゴルを皮切りに、モンゴル1号店、2号店、そしてフランスパリへの出店。
その間にニューヨークの既存の日本の食レストランにメニューインも挟んでるんですけども、その僕らが今までやってきたブランドのフィードバック、あるいはその地域、モンゴルだったらモンゴル、フランスパリだったらパリの趣味嗜好に合わせてアジャストしていくようなプロデュースの仕方と、現地のオーナーさんと協力して、「たけさん」ブランドをより強力なブランドとして現地で展開するための準備を十分にできて、あるいはまたその経験も積んで、新しい技術、あるいはその新しい作り方、ノウハウを蓄積することができました。
そのノウハウが今回の野沢温泉スキー場店への出店につながっていくんです。
まずそのスキー場でなぜ出したのかということに関して、
今、長野県で冬季・雪国らしいラーメンを作ってきた私たちの「たけさん」ブランドと、その雪国ならではのスノーリゾートをコンセプトブランドともに合致する場所というのがそのスキー場であったというのが一つで、
もう一つがその海外進出することによって私たちがこう蓄積できたノウハウを遺憾なくインバウンド需要が高まっているスキー場エリアに出店することで、日本の方のみならず世界中から集まる海外の方に長野を代表するような形でラーメン店として出店する。
これがまず私たちがスキー場特に野沢温泉スキー場を選んだ理由になります。
結局、ご縁もありますし、どのような物件が空くかというのもあったので、ずっとちょっと探してはいたんですけど、無事、ゲレンデ食(通称:ゲレ食)いわゆるゲレンデでラーメンを出すという、この上ない最高のシチュエーションで第1回目のシーズンスタートすることができました。
この手応えとしましては、海外、アジア、あるいは欧州、オーストラリア、もうそれこそ世界中から来るお客様が、土鍋で熱々で湯気の立つような味噌ラーメン信州味噌ラーメンを食べていただける。このロケーションが、もうこれ以上ない我々のブランドの魅力を発揮するエリアで、しかもみんな楽しんでいただく。驚いていただくのが本当に嬉しくて、スキー場でこんなラーメンが食べれるんだ!その私たちの持っているブランドのスペシャリティを遺憾なく発揮することができるエリア、あるいはその出店条件、ロケーション、機構、すべて含めて、今持てるすべてを出せたエリアだなと思います。
海外での経験があったからこそ、野沢温泉スキー場を出店候補エリアにすることになったということですね。
海外に行くことで、仕入れ、キッチン提供、会計、あるいはその魅力ある商品メニュー作り、すべて海外店舗を展開することによって得られた知識やノウハウを全て注ぎ込む。
日本だけでやってた時と比べれば、もう本当に海外向けのインバウンド向けに特化したようなブランド、店舗展開がスタートできたかなと思います。
ぶっちゃけ、日本国内で今まで飲食店を17年やってきましたが、野沢温泉では販売価格(メニュー価格)およそ倍です。原価金額はこれまでと同じです。人件費はやや増でやってみて思うことは、17年間で初めて、日本国内で「理想的な価格で健全な運営、経営ができることになりそうだ」なと思いました。
例えば値段を上げたい。でもお客様のニーズはやっぱりラーメン1000円、あるいは定食1500円っていうイメージの中でずっと戦ってきたんですけど、そことはもう全く離れた世界。
自分の出したい値段。この価格だったらとっても運営が楽になるな。とっても楽で。かつ、人件費、あるいは税金、水道光熱費、家賃すべてが健全に運営できるような理想的な数字で勝負できる。
ここはもう本当に今まで日本でずっと運営してきた我々からしたら、本当にもうユートピアですよ。
本当に理想的な価格、また客層で人件費、光熱費、すべてが理想ですね。
よくインバウンド向けにべらぼうと思えるような価格をつけているという話も耳にしますが、我々ですとラーメン一杯、野沢温泉で2000円前後、平均すると2000円のラーメンですね。
ニセコだったり白馬だったりっていう、そのインバウンド先駆けと言われるようなリゾートと比べると、まだ安いって言われる価格です。今、高いところですと3000円から2500円のラーメンで日本人は食べないなんですけど、今ギリギリ2000円ですと海外の方たちは喜んで食べるし、日本人の方々もゲレンデ食ならここまでは出せるなっていうギリギリのライン。ちょうどいい着地点の価格なんじゃないかな。
かつ、我々も健全な運営ができる、そんな価格に落ち着いていると思います。
そうですね、まだまだその海外の欧米、あるいは北米、欧州、北米に比べたらやっぱり価格が低いんですけども、(観光地野沢温泉で通年営業を計画していますので)今後の展望としてはオンシーズン、それこそインバウンドが最盛期の時期にはもっと値段を上げてで、期間によってオンシーズンからだんだんと日本人の方が多くなってくる季節で価格を変えたりだとか、あるいはその日本人との二重価格っていうのは今よくメディアでは聞くんですけども、その辺も要検討なのかなとは思います。そうですね。今のところだとやっぱり野沢温泉スキー場に限って言えば、その宿泊がほとんど海外の方になっているんですけど、客層が3月から日本人に切り替わるんですね。
そこで、そのタイミングで価格を変えていくというのも、そしてオフシーズンに向けて現地の方、ローカルの方に来ていただくようなお店づくりも一つの手なんじゃないかなと思います。
まず第一に、そのエリアで長く事業を続けていくことができる持続可能な事業なのかどうか。そこはやはりローカルの人たちとの付き合いを大事にしながら企業成長をしていくというのは、僕はとても大切に考えています。
ちなみにフランチャイズのパリの店のラーメンは日本円で言うと2500円から3000円ぐらいになりますので、海外のタケさんの店舗と比べると、やはりパリが一番高くて。次にこの野沢温泉スキー場そしてモンゴル小布施店。
長野県の街中にあるお店が一番安いという形になります。そうですね。まだ1000円前後のラーメンで勝負しています。ただし、原価費は同じなので、原価率は全く違うという形になります。
あともう一つ海外展開する上で大事なファクターになったのがVEGAN(ヴィーガン)ラーメンですね。
(2018年小布施店出店の際に開発した)ヴィーガンラーメンはやはり「たけさん」のラーメンコンセプトを遺憾なく発揮することでもすごく合致するコンセプトでしたので、信州味噌を存分に発揮しながら、ヴィーガンの方も満足していただける。
あるいはヴィーガンとは知らずに食べても十分に美味しいと思って思えるもらえるラーメン。
これをやはりそのパリもそうですし、ここを野沢温泉スキー場でもやはりオーストラリア人、あるいはそのアジアのムスリムの方が来ても、やっぱりVEGANがあるから来る。ラーメンも食べれるし、VEGANにも対応できる。
なおかつ現在ですとグルテンフリーの面も用意してますので、要望は多岐にわたるんですけど、可能な限りタケさんで済ませていただけるようなブランドづくりをしています
アセンティアさんとの出会いが、やはりその小布施店のオープンと同時期だったので。
小布施店の新規出店と同時進行という形でアセンティアさんとお話しすることで、そのVEGAN(ヴィーガン)ラーメン、世界に通用するような味噌ラーメンをお探しだったというタイミングで、まあそのヴィーガンラーメンだったり、そのハラール対応だったり、その世界中の人たち、国や宗教、主義、思想・信条を選ばず出店できる味噌ラーメンを探していますというアセンティアさんのお話を聞いて、「それだったら私の方でもトライしてみたい」ということで、小布施店の出店に合わせて、そのヴィーガンラーメン、今で言う「信州味噌蔵ラーメン」を小布施店のオープンまでに完成させてテスト販売する。
で、その後すぐにアセンティアホールディングスさんから海外一号店名となるモンゴルのオーナーさんを紹介していただいて即決定と。その本当に今思い出すと、あっという間に全部同時に進んだなと思うんですけど、本当にちょっとしたきっかけと、知り合う・マッチングするタイミングによっては、やっぱりその海外に行くチャンスというのはとても身近にあるものなんだなとすごく今思っても、そのすごい、これ以上ないタイミングとその双方の持っているものというのを合致した瞬間だったもので、これはその誰でもチャンスがあるといえば、ちょっと語弊があるかもしれないんですけど、そのしっかりと自信を持って世界に出せるようなブランディング、あるいはその自信を持ったその商品をお持ちの企業であれば、世界中いろんなところを探せば、必ず進出できるようなチャンスがあるんじゃないかなと、海外進出をしていくにつれ、感じるようになりましたね。
そうですね。直営で行くのは全く無理なんじゃないかな。
まあ、言い過ぎかもしれないですけど、僕らだったら直営は100%できないとと言い切ってもいいんじゃないですかね。
そのまず、国境を挟んで、法律が違う、言語が違う、通貨が違う、ルールが違う、すべてが違うところで、現地に我々が行って健全な運営ができるか、あるいはキープできるか、全く想像がつかないです。
それは私たちが今、フランチャイズで現地法人オーナーさんが、現地でのリーガルに則って、ルールに則って、現地の方を雇用して、現地のルールを現地の食材で、なるべく現地の人材でやってくれる。これがもう、僕らにとってはもう必須なんじゃないかなと。フランチャイズでしか、やっぱり、今は海外展開では考えられないなと感じています。
ぶっちゃけ言うと、やっぱりその物流と、やっぱり入金送金ですよね。
やっぱりその日本人が考えるような常識は、やっぱりアセンティアさんからはその通用しない方たちを相手に商売することになるから、あるいはそのビジネスをするんだけど、やっぱり契約書だけじゃ終わらないトラブルというのをすごく多分にはらんでいて、じゃあルール上これはルール違反だよねっていう話がまかり通らない。そんな話も全くもってあるし、あるいは何回も送っている物流が急に止められて。で、今まで聞いたこともない理由でものが入れられない。
そんなことは日常茶飯事ですし、会社としての信頼が現地で上がってくれば、また物流も変わってくるし、送金もまた変わってくると思いますけど。とにかく現地オーナーさんとの信頼づくり、パートナーシップをどうやって作っていくかが一番大事なことで。まず僕らフランチャイズ本部が加盟店、オーナーさんとうまくいくことが前提で。
お客様に、現地でのお客様にマーケットマーケティングのプロモーションしていくことが可能になりますし、本当に本部と加盟店さんがしっかり手を組んで、双方のいいところを存分に生かしながら、上とか下とかじゃなくて、上下関係じゃなくてパートナーシップ、同じ土俵でやっていくというのがすごく大事だなと感じています。
フランチャイズ本部の総数は5人です。役員4名と委託1名で雇用はゼロです。
委託メンバーで物流を担当しています。
僕が代表取締役ではあるんですけども、役員4人で外部に一人っていう形ですので、本当に軽量化しすぎなぐらい。まあ、運営は軽量化された本部だと思います。
いわゆる規模は大きくなくても、フランチャイズはできる?そうですね。本当に片田舎のラーメン店だった僕のブランドがフランチャイズ本部ということで、本部を立ち上げますってなった時に、そこまで特に準備が大変だったりだとか、じゃあどっかのビル借りますとか、従業員を雇わなきゃいけないですとか、そういうスタートじゃなくて、その時現状あった環境そのままで本部を始められたっていうのは、一つとっても大きいメリットでしたね。投資も必要ないですし。
雇用も必要ないあるもので、フランチャイズ本部をまずスタートアップさせてしまうこの身軽さは、もう僕には驚きでしたね。
そうですね。もう全くの飲食畑だった僕にとっては、世界展開をする上で、すべてのきっかけであり、ノウハウはもうすべてアセンティアさんから教えていただいた。もう、フランチャイズ本部としてはもう僕ら、僕としてはもう先生ですよね。新しい世界を開いていただいたという感覚ですよね。
どれだけ面白い商品を持っているか、あるいは世界中で通用するような飲食店であれば世界中で通用する美味しいを持っているか。そういうことを、アセンティアさんのノウハウと僕らのノウハウを合致させることで、海外に行くきっかけが初めて生まれた。もうここはもう本当に、僕らは感謝しかないんですね。
もう「美味しいジャパン」は世界中に溢れてるなっていうのは肌で感じました。
当たり前の美味しいは世界各国にもあるんだなっていうのは。まあ、モンゴルもそうですし、パリもそうですし、ニューヨークもそうですし、日本の食事がこんなに世界中にあるのか、それは日本人がオーナーじゃなくても、他の国の方がやっている日本食であっても、もう世界中が「美味しいが当たり前」になっているのはすごく衝撃でした。
だから、日本の当たり前のようにある美味しいを持っていくんであれば、後手になってしまうな。
やっぱりそこには新しい美味しいがないといけない。感動するような新しい美味しい、その提案ができるんであれば、海外に行くべきだなと思います。
追加情報
たけさんでは、スキー場などインバウンド向けの地域での出店を計画しています。FCやタイアップなど様々なご相談に乗れます。
たけさん ホームページ https://www.miso-noodle.com/