フランチャイズ本部の法的トラブル。80件の実例から見えてきたものは! フランチャイズ本部を目指している企業経営者がしばしば不安視するのは、「フランチャイズならではのトラブル」だと聞きます。
社長より優秀な社員|2021年10月
あなたの会社には社長であるあなたより優秀な幹部社員がいらっしゃいますか?
言うまでもありませんが、コロナ禍の今、生活者のライフスタイルが大きく変わり、多くの業界に影響を及ぼし様々な変化が起きています。どちらの方向へどのように向かっていくことが正しいのか?全ての経営者が悩んでいます。
実はこのようなときにこそ、「フランチャイズ」が有効に機能するのです。
「社長であるあなたより優秀な幹部社員がいらっしゃいますか?」とお尋ねしましたのは、フランチャイズを始めた瞬間から、あなたの会社は広く外部の智慧を吸収できる存在へとバージョンアップ出来るのです。
どういうことか?
フランチャイズに関わる第三者(その多くが加盟店)の会社の経営陣の智慧も、本部であるあなたの会社のものとしていくことが当たり前に実現するのがフランチャイズなのです。
フランチャイズ本部の会社がどんなに立派になっても、本部会社を構成するのは、ごく一部のオーナー経営陣と、雇われた幹部や一般社員です。つまり大多数はサラリーマンによって構成される組織です。
他方、フランチャイズ加盟店には、個々に自ら意思決定し投資をしたオーナー経営陣が必ず存在します。つまり、加盟店の数だけオーナー経営陣がいるということです。
仮に10店舗出来れば10人分の、50店舗出来れば50人分のオーナー経営陣の智慧が本部に加わってくるのです。
サラリーマン発想と、オーナー経営陣発想 どちらが困難に直面した際にブレイクスルー出来る発想が生まれるでしょうか?
オーナー経営陣発想の方が優れていると思いませんか??
突然来店ゼロが続く
過去、こんなことがありました。確か2001年くらいのことです。
前の年でイギリスで発生したBSE(狂牛病)問題が、この年に日本に派生しました。日本でもBSEの疑いのある牛が発見されマスコミは連日、BSE狂牛病の危険性を報道しました。
当時、私たちは焼肉の牛角を既に300店舗位フランチャイズで広めていました。加盟企業の数は200社を超えます。
「牛を食べるとBSEになる(アルツハイマーになる)」の報道が連日続き、BSE報道で牛角の来店者数は激減。来店ゼロ、一桁という日に行き成り突入しました。
ただ、BSEはイギリスと日本の家畜の牛から発生したのであって、100%アメリカ産輸入牛に依存している牛角にとっては関係ない話なのですが、テレビは連日BSE報道です。
もし、あなたが牛角の本部の社長なら、何をしますか?
想像して見てください。
誰も経験したことのない出来事。
自社の直営店の問題もある。
ゴールが見えない。いつになったら解消するのか、分からない・・・。
加盟店オーナーとしても、たまったものではありません。
当時、出店コストは5000万円ほどでした。
オープンの翌週にBSE突入という店舗もありました。
銀行融資を受けて始めた新規事業がいきなり、BSE問題で、来店ゼロが続く・・・
とんでもない状況です。
この状況に直面し、300店舗の加盟店の経営陣と フランチャイズ本部やフランチャイズに関わる方々が一斉に自分自身の問題として、どうすれば良いのか?を考え、行動し始めたのです。
一人の加盟店の店長
その中に、関西の加盟店の一人の店長が、変わった行動に出ました。
結果として、その行動が、牛角チェーン全体を救うことになりました。
その行動とは、後に「法人営業」という手法で呼ばれるようになる店外活動です。
前述のようにBSEは日本国内で飼育されている牛に発生しました。
牛角は100%アメリカ産輸入牛を使っています。アメリカではBSE発生がありません。BSEは餌による感染でしたので完全に遮断されています。
「100%アメリカ産輸入牛なので、BSEの心配はありません」という内容のチラシを作って、牛角の店舗の近隣の会社という会社、事務所という事務所に、加盟店の店長がちゃんとスーツを着て、訪問して説明に回るという活動をしたのです。
テレビの影響で、全国民がBSEのことを知っています。肉は危ないと全国民が思っていました。そこに、近所の焼肉屋の店長がスーツ着てやってくる。
すると話は聞いてくれるのです。そして、テレビで言っていること(国産牛危ない)と、牛角は全部輸入!という情報が重なって、お客様の中に、「なるほど牛角はアメリカ産だからBSEの心配はないのね」という理解が深まるのです。
更には、近所のお店の経営陣が丁寧に説明に来てくれたという熱意に、心を動かされていくのです。
「応援します」と訪問したその場で、夜の予約をしてくださったり、社員の枚数のチラシを受け取ってくれたりと、フェイストゥーフェイスの法人営業は大成功になっていきます。
そして、これからがフランチャイズの凄いところなのですが、その情報が瞬く間に全国の加盟店に伝わっていくのです。
どのような準備をして、どのようなチラシを作り、どのようなトークで訪問するべきなのか?をロープレ付きでです。
これがフランチャイズの最大の強味だと思うのです。
フランチャイズは、本部が上で、加盟店が下 などという考えは、日本とKoreaのみで通用する考え方です。
フランチャイズ大国アメリカでもその他全ての国において、フランチャイズは「対等」な関係であり、本部と加盟店は「役割」が違う、「機能」が違うパートナーシップ関係です。
フランチャイズを展開する以上、直営店よりも、加盟店の数の方が増えます。(最初は直営が多いかもしれませんが)
そして、事実として加盟店の方が、オーナー経営陣からの距離が近いです。サラリーマン店長より、オーナー経営陣発想で物事を考えられる可能性は高くなります。
直営店100店舗のチェーンよりも
フランチャイズ店100店舗のチェーンの方がオーナー発想の発想力は高まる。
どんなに「経営者意識を持て」とサラリーマン店長に教育しても、リアルのオーナー経営陣には勝てません。
また、オーナー経営陣が日々店舗に関わる店には勝てません。
フランチャイズするというのは、今まで以上に、オーナー経営陣発想の店を作るということにもなりますし、それは、現下のような緊急事態的な状況に、より効果を発揮するのです。
フランチャイズは、仲間作りです。
本部の理念に賛同する経営者の仲間が、加盟店という形で出来るのです。
社員とは違った、理念によって結ばれる仲間作りです。
問題は、上記のようなオーナー経営陣発想で緊急事態に対して主体的に考える加盟店オーナーを集めることが出来るか?という問題です。
依存心の高い加盟店ばかりで緊急事態に陥ったら・・・想像するだけで寒いですね。
自社のフランチャイズについて、私たちと、ド真剣に議論しましょう。