なんで長野にたった1店舗のラーメン屋がパリに?モンゴルに?
海外フランチャイズが広げる日本食の海外マーケット!
株式会社アセンティア・ホールディングス(本社:神戸市、代表:土屋 晃)は、オリンピック目前で賑わうパリに、新たなラーメンフランチャイズ店をオープンさせました。
オープンしたのは、たけさんラーメン(株式会社Miso Noodle、本社:長野県下高井郡小布施町、代表:竹田哲章)で、土鍋をコンセプトとした味噌ラーメン店をフランスのパリ中心部オペラ座近くに2024年4月13日にソフトオープン、5月18日にグランドオープンしました。たけさんの海外店舗は、モンゴル2店舗に続き3店舗目。長野市で2008年に創業し、2018年に小布施店をオープンし、今日現在小布施の一店舗だけのラーメン店が、なぜ海外フランチャイズを展開出来ているか?
フランチャイズという海外展開手段が、日本の外食産業に新たな可能性を広げます。
なぜ味噌ラーメンだったのか?
2024年4月、私達はフランスのパリにラーメン店を出店しました。
その開店までの軌跡を残しておきたいと思います。
私たちアセンティア・ホールディングスは、日本の様々なブランドを海外にむけて出店や進出支援している会社です。
これまでに15年ほどで、27カ国で200店舗ほどの出店を行ってきました。
飲食業が7割、残りは小売サービス業です。
アジア、ASEANエリアが中心でしたが、ここ数年はEU、中東、オセアニア、アメリカ、アフリカへと広がっております。
私達は豚骨醤油らーめんの業態もすでにアジアで35店舗ほど広げていたのですが、そこで知ったのは、海外ではラーメンは麺料理ではなく、「スープ料理」というカテゴリであること。イスラム教徒もラーメンに関心はあるものの、豚骨は食せないこと。ラーメンにつきものの化学調味料を嫌う動きがあることでした。
また、アメリカに最初に進出したあるラーメンチェーンのメニューの出数分析で味噌ラーメンの評価が高いと知って、スープを主役に出来るラーメンは「味噌」だと確信をし、日本中で味噌ラーメンを探すこととなりました。
弊社代表の土屋は、「味噌ラーメンといえば札幌!」と、札幌の名だたる人気味噌ラーメン店をはしごして、毎日5〜6店舗、3日間ほど食べ歩いたのでした。
しかしその結論は、札幌の味噌ラーメン店の中に、弊社代表の求める「味噌がしっかり際立ったラーメン店」はなかった、ということでした。
確かに札幌は味噌作りで有名な土地柄ではありません。味噌ラーメンといっても豚骨や鶏ガラのスープが主役で、味噌は脇役のイメージが強かったのです。
果たしてどうしたものか?
どうやって真の味噌ラーメン店を探すか?
と考えていたところに以前からお付き合いのあったデザイン会社の社長がSNSに「今度、長野で新しい味噌ラーメン店をつくります」という投稿をしたのを見て、連絡を取り早速試食に行きました。
横浜家系で修行していたオーナーが「長野のご当地ラーメンを作りたい」という思いから【土鍋】【味噌】ラーメンとして2008年に創業していた「たけさん」でした。
期待して「たけさん」を訪問したのですが、たけさんの味噌ラーメンは、修行先が家系でしたので、やはり豚骨味噌だったのです。
私たちは大きく落胆し、私たちの味噌ラーメンを探している主旨、即ち世界を目指すラーメン店は、豚を使わぬハラルメニューや、動物系を排したヴィーガンメニュー、出来れば化学調味料も不使用な味噌が際立つ看板メニューが必要なのだ、と訴えました。
ラーメンクリエイターであったこのオーナーは、2週間で試作品を作ってくれました。
私たちは早速試食にいき、幾つかの改善点を伝えながらも出来上がったのが、動物性食品不使用かつ化学調味料不使用の、今回出店したパリでも看板メニューとなっている「土鍋味噌ヴィーガンラーメン」なのです。
2018年1月に商品名「信州味噌蔵ラーメン」としてこのヴィーガンラーメンを軸に小布施店が開業しました。
このラーメン店の運営企業こそ、今回パリに出店した「長野土鍋味噌ラーメン」の企業であり、竹田社長であり、現在では弊社のパートナーとなっている企業です。
弊社サポートのもと、店舗のフランチャイズ化を短期間で行い、海外からの研修制度も整え、海外展開をしていくこととなりました。フランチャイズ本部用に「Miso Noodle」という会社も設立しました。
海外展開は試行錯誤の連続
2019年、まず1カ国目にフランチャイズで出店したのは、なんとモンゴル、ウランバートルでした。
「何か日本のブランドを展開したい」というモンゴル企業から弊社への問い合わせがあり、Zoomで何度もミーティングをしたあとに日本のフランチャイズ視察ツアーに呼んだのです。
日本では地方都市にあるブランドも含め、いくつかの飲食ブランドを視察した後に、彼らが最終的に選んだのが、この「たけさんラーメン」でした。
最初はモンゴルの飲食マーケット、同業態の客単価や立地等々もわからぬままにスタートしたプロジェクトですが、モンゴル側の加盟店の協力もあり、今では2号店も開店して安定的な売上を上げ続けています。
冬場にはマイナス45度になるウランバートルでの店舗作りと店舗運営は経験のないことの連足でしたが、
2店舗ともモンゴルの首都ウランバートルを代表するラーメン店舗としての地位を確立しつつあります。
目指せEUへ!
コロナ前の2019年、Miso Noodle社としてはじめてEUへタッチしました。
お世話になっていた商社のお勧めもあり、世界最大のヴィーガンフェスティバル(Vegan Summer Festival Berlin 2019, ベルリン)に出店しました。
ヴィーガンフェスティバルなので商品はヴィーガンラーメンの「信州味噌蔵ラーメン」のみ。
ポップアップショップなのでラーメンを簡易に作る方法を考えて3日間の出店を行いました。
日本の企業の出店は弊社のみで、非常に目立ったことは言うまでもありません。3日間で1000食以上を売り切り、EUのマーケットに非常に大きな魅力を感じたのでした。
一気にEUへ展開とと計画したところに、なんとコロナがやって参りました。。
3年ほどは何も動けないままに国内でリモートで海外向けに情報発信活動を行っておりました。海外では日本よりも先にコロナも終盤に差し掛かり、世界中が開放感にみち(日本は開放が非常に遅かったのですが)動き出したところで、リモートで十分に理解し合ったあとで、実際に日本への視察ツアーを再開しました。ロンドンから、パリから日本へのフランチャイズ視察ツアーに参加が集まりました。
フランス、パリからは事業意欲の高い若いご夫妻が参加されました。パリでは既にラーメンブームであり、それに打ち勝つラーメンブランドを探したいという意向でした。
彼らを数日にわたり複数のラーメンフランチャイズの視察ののちに彼らが選んだのは、Miso Noodle社のたけさんラーメンだったのです。
彼らの意思決定ポイントは「ストーリー性」だったと後に彼らが振り返りました。
フランスは歴史のある国です。日本も同じですが長い歴史と文化があります。フランス人たちは歴史あるものに心を動かされるというのです。
たけさんラーメンの味噌は、小布施店の隣地にある創業240年の老舗味噌蔵が、伝統的な木樽を用いて、たけさん専用の味噌を作ってくれています。
この歴史やストーリーがフランスから来た彼らの心を掴んだのでした。
視察ツアーの後、契約などはリモートで済ませ、彼らは物件探しに入りました。
日本食店舗が集まっているパリ、サンタンヌエリアに集中して探しました。
彼らのさまざまな人脈や、弊社のパリの特派員も動き回り、40年近く続く寿司屋の店舗が閉店を考えているという情報を得てオーナーと条件等交渉し、最終的な物件契約に行きつきました。
設計&施工監理はリモート中心!
パリ中心部ではどの建物も古いので正確な図面もなく、日本からデザイナーが店舗を訪問して採寸をして図面を起こしました。また景観条例や都市景観規制の厳しいパリ中心部、そこでの設計は困難を極めました。何度もリモートで調整した後にOKとなり施工に入りますが、「海外あるある」で工事は半年遅れ2023年11月開店予定が2024年4月となったのです。開店は、インフルエンサーも呼んで大体的にグランドオープンをしようと考えていたのですが、開店2日前の消防署の検査で改善点が見つかり、ガスを止められるという事態に陥りました。
急遽都市ガスを使わない調理で出来る範囲のメニューのみのソフトオープンということで開店しました。
もちろんラーメンは、提供しました。(餃子や揚げ物がNG)結果的には、ソフトオープンは店舗スタッフの良いトレーニング期間となり、5月中旬にSNSでの告知などを行った上でグランドオープンを行いました。現在、平均顧客単価は20ユーロとなっております。
フランチャイズでの展開ということもあり、現地での物件発掘・契約、施工会社打ち合わせ、各種公的規制の申請、人材の採用・教育等々は現地の加盟店なくしてはできないものでした。
本部の竹田社長はソフトオープンとグランドオープンの2度にわたりパリに飛びましたが、結果的には上々の開店ができたと思います。
昨今、円安の状況が長く続き、日本の飲食マーケットも不透明感から、海外進出が大きなニュースとなっております。今後ますます多くの飲食企業が海外を目指すことになると思います。
私どもは、海外に展開するならフランチャイズでの展開が一番良いと考えており、弊社の過去に積み重ねた経験と情報が今後、日本の外食産業の海外進出のお役にたてればと考えております。
問い合わせ先
hello@assentia-hd.com